資本論とは
資本論とは、カール・マルクス(1818〜1883)の著書であり、近代社会の経済的基礎を歴史的かつ批判的にとらえた社会科学の古典の一つと言われている。
(出典:https://kotobank.jp/word/資本論-75091)
資本論では「資本論とは何か」「資本はどう動くか」「資本家は資本をどう活用するか」「なぜお金持ちはどんどんお金持ちになり、貧乏人はさらに貧乏になるか」といった資本主義の構造について分析している。
本書では資本論を「ビジネスマンの聖書」としている。資本論の要点を図解でシンプルにまとめられたのが本書である。資本論をわかりやすい具体例を上げながら説明している。ここでは個人的に学びになった部分をかいつまんで紹介したい。
ここでは搾取について紹介したい。
労働者は搾取の再生産の手伝いもしている
このテーマは衝撃だった。「資本家にとって、労働者が過去にした無給の労働は、無給労働をさらに増大させる効果がある」と資本論には書かれている。この無給労働で資本家がまた別の労働者を雇用するお金をも稼ぎ出しているらしい。無給の労働がどんどん増大し、それがさらに資本の規模を増大させることになる。また、資本は過去の労働の結果なので、過去の労働は、過去に搾取されただけで終わらず、将来もっと多くの人が搾取される手伝いをしていることになる。ということは、ボランティアを許容したり、好きを優先して稼げない仕事を継続することは将来働く人びとも搾取されるようになる手伝いをしていることになる。
分業・協業は労働者を弱くする
このテーマは100%賛同できる内容ではなかった。
分業においては、ここの仕事は単純になり、労働力の価値も安くなる。協業においては、全体の作業が小さなそして単純な労働に分配されて、なかなか別の作業が担当できない状態に陥るといったネガティブ名ことが書かれている。確かに個々の作業を単純化すれば、労働単価を下げることができると思う。しかし、私個人としては、分業・協業をポジティブにと捉えている。チームで動くことにより一人では生み出せない剰余価値を生み出すことができると考えている。Googleもチームで働くことが多いし、レベルの高いサッカーの試合は感動を与えるチームワークを見せてくれる。
資本の循環が早いと生産性が高まる
ここではマクドナルドを例にあげてこのテーマについて説明している。
マクドナルドではあえて座りにくい椅子を提供することでお客の回転を早めている。回転が速くなることで売上も上がる。生産して1年かけて売れるものであれば、雇っている従業員の賃金の回収は1年後になるが、もっと早いタイミングで売れるようになれば、従業員の賃金の回収のタイミングも早めることができる。
生産性が向上すると労働の価値が下がる
テクノロジーが進歩して、社会全体の生産性が向上すると、必要な労働の量が少なくなるため、価格が下がる。生産性が上がって必要な労働が少なくなり、そのため価値が下がったということである。商品の価値は「その商品の質がどれくらい良いかではなく、それを生産するために人間にかかった人間の努力により決まる」とされている。しかし、その商品を生産をするための人間の労働量だけでみていて、生産性を上げるテクノロジーを開発するまでの人間の努力や行動量は考慮されていない矛盾を個人的には感じた。テクノロジーを生み出すのも結局のところ人間なのだから、生み出すまでのプロセスも考慮した労働の価値を決めるべきではないかと思う。
テクノロジーが生み出す富は資本家のもの
資本家が労働者の労働とその結果を利用する権利を持ったため、労働者は自分の生産の結果を所有することは無くなった。例えば、アメリカベル研究所に勤める研究者が無線LANなどの革新的な技術を発明したが、お金持ちになったという話は聞かない。彼らはベル研究所で雇われている労働者にすぎないからである。テクノロジーが進歩すれば労働者が楽になるのではないかと思われるだろうが、労働者は豊かにならないとここでは述べられている。テクノロジーが生み出す富は、剰余価値という形で資本家のものになるからという理由である。しかし、それは考え方次第のような気がしていて、資本家が労働者に対してテクノロジーが生み出す富を労働者にきちんと分配すれば良いだけのような話も気がする。(実際分配してくれる資本家がどれだけいるかはわからないが。)
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